4代目住職、尼僧です!

35歳で3児の母、ゆるりゆるりと住職やってます

尼僧の私が読んだ「余命10年」

職業柄なのかもともとなのか、「いかに生きるか」というテーマの小説があると読んでみたくなります。この本は、たまに立ち寄る本屋さんの売れ筋コーナーで見かけて、気になったので買って読みました。

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 「余命10年」という、長いのか短いのかどちらともいえない時間。
そして表紙には、若い女の子のイラスト。


この子はこの10年をどう生きていくのだろうか・・・?

 

主人公の茉莉(まつり)は、20歳のときにある病気を宣告されます。
その病気は治療法が発見されておらず、同じ病気で10年以上生きた人はいない。

 

第一章の最後の文が印象的でした。

あと10年しか生きられないとしたら、あなたは何をしますか。
長いと思い悠然と構えられますか。
短いと思い駆け出しますか。
あと10年しか生きられないと宣告されたのならば、
あなたは次の瞬間、何をしますか。

長いとも短いともとれる10年という年月。
人生を楽しむには短すぎるし、ベッドの上で耐えるだけなら長すぎる。

 

茉莉は、周りの人に対していつも笑顔で接します。
でも、心の中では、周りの人のように"普通に"生きられないという強い劣等感を抱え、しばしば絶望し、いろんなことを諦めていきます。

恋なんかしない。幸せを望んだら今の自分が不幸みたいじゃないか。

人や物に執着しない生き方をするように。
執着すると、死ぬことが怖くなるから。

 

しかし、茉莉は一緒にいて楽しいと思える男性に出会ってしまいます。もう会わないようにしようと何度も思いながら、どんどん惹かれていってしまいます。

彼といると楽しいあとは必ずつらい。楽しい分だけつらい。
つらいのにもう会いたい。
恋愛感情なんて、一番最初に殺したはずだったのに。
どうかわたしに、死にたくないと思わせないで。

未来に望むものを持たないことで死の恐怖から逃れていた茉莉が、また強く悩み始めます。そして、彼にはずっと病気のことを隠し続けて付き合ってきた茉莉でしたが、発作を起こし倒れてしまったことで、彼にもすべてを告白するときがきました。そのとき、茉莉は27歳。宣告された命の期限はあと3年。

そこで彼は茉莉にこう言います。

結婚しよ。3年でいい。茉莉の最後の時間を俺にくれないか?

 

 

うおおおおおおおん! はいっ、ここまでーーーーー!!!!

 

思っていたよりもバリバリの恋愛小説でした。

でも、ここでブログにしようと思ったのは、この茉莉の考え方というか達観の仕方が非常に仏教的だなと感じたからです。

お釈迦さまは、人生は「苦」ばかりだと言いました。いわゆる四苦八苦です。そして、その「苦」を取り除くには、「迷い」や「執着心」を捨てることと言いました。

彼に出会う前の茉莉の生き方は、苦しみのダメージを最小限にする生き方だったのかもしれません。茉莉はそれを知っていたのか、それに気づいたのか、お釈迦さまの悟りの境地です。

 

苦しみはできるだけ少ないほうが良い。

 

でも、欲や執着を捨てる生き方は、人間らしいと言えるのかどうか。

 

やっぱり生きるって苦しいこと。

 

お釈迦さまの言うことは二千年後の今も正しい。

 

 

 

この小説を書いた小坂流加さんは、今年の2月に亡くなっているそうです。詳しい病名はわかりませんが、作者紹介の欄に「病状が悪化し」と書かれていたので病気をお持ちだったのでしょう。もしかしたら茉莉の生き方や考え方は小坂先生自身だったのかもしれません。

 

この本を読み終えて。

読んでみてよかったなって思っています。

最後、茉莉は亡くなります。もちろんハッピーエンドとはいえないし、でも悲しいだけの結末じゃないし、いろんなことを考えさせてくれる小説でした。決して暗い気持ちにはなっていません。

私は気に入った小説は何度も繰り返して読むのですが、この本もお気に入りの一冊になるかもしれません。

 

 

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