10年前、私は札幌の学習塾で働いていました。週に1~2日は教室へ行き小学生と中学生のクラスで授業をして、残りの日は本社でテキストやテストの制作をして…というような仕事でした。学習塾ではお盆やお正月は冬期講習・夏期講習の真っ只中なので他の会社のように連休がとれず、一年で唯一のまとまった連休はゴールデンウイークだけでした。なので有給休暇などを利用して9連休10連休という大型連休をもらえるのが一年で一番の楽しみでした。
当時20歳代前半だった私は、唯一の大型連休が楽しみで楽しみで、10日間すべての日に遊びの予定を詰め込むほど張りきっていました。ずっと心待ちにしていたゴールデンウイークが始まり、そしてその前半が終わる頃、「もう半分が過ぎてしまった…ゴールデンウイークが終わっちゃうよ…」としょんぼりしていました。まだ5月2日とかなので連休に入っていない人もいるというのに。
そして遊びに遊んで本当にゴールデンウイークが終わってしまったとき、
「一年の唯一の楽しみであるゴールデンウイークが終わってしまった…私は何を楽しみに生きていけばいいんだろう…」
と、私はまさしく燃え尽きた灰のようになっていました。
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あれから10年。私は祝日も連休も関係ない仕事に就いています。今の私にとってゴールデンウイークとはただの "普通の日" です。楽しみでもなければ、終わったときの虚無感もありません。
あるとき、
「人間は執着や欲があるから苦しむ、よって執着や欲を断ち切ればよい」
というお釈迦さまの教えを思い出しました。
「ゴールデンウイークが楽しみで仕方なかったあの頃は、ゴールデンウイークが終わるときとても苦しかった。でも、ゴールデンウイークになにも期待していない今はその苦しみをまったく感じない…!お釈迦さま!これなんですね!人間は執着や欲があるから苦しむとは、このことなんですね…!」
お釈迦さまに申し訳ないくだらないことで仏教の教えを実感した私だったのでした。
ゴールデンウイークも終わってしまいましたね。今年は産後間もなかったので、家から一歩も出ずに連休のすべてが終わりました。北海道十三仏霊場の巡拝の方がちらほらと見えて「私もどこかに出掛けたいなぁ…」と羨ましく思いました。