4代目住職、尼僧です!

38歳で3児の母、ゆるりゆるりと住職やってます

修行日記6~後期加行編~

さて、昔のSNSに残されていた修行を終えたばかりの私の日記、修行レポその6「後期修行編」です。

前期加行は2月~3月に50日間、少し休みを置いて後期加行は8月~9月に50日間でした。百日間連続でやるよりも50日ずつに分けたほうがたぶん大変だったんじゃないかと思います。前期加行で辛い思いをしたのに一度娑婆に戻り、そしてまた辛い修行に戻るんですから、トラの口に自分から頭を入れてわざわざ噛まれに行くようなものかと。さすがにそれは大袈裟すぎますが。

前期加行も後期加行もどちらも辛かったですが、後期は気持ちの面で大きく違うところがありました。前期加行を終えたとき、前住職である父が亡くなっていました。(厳密にいうと、父の死を知ったのは加行に入る直前でしたが。)加行を終えて家に戻ってからの4ヶ月間、私は半人前の僧侶としてお寺の仕事を手伝いました。50日間の加行をしたもののわからないことだらけのなか僧侶1年生の日々を送り、そして迎えたのが後期加行でした。後期加行を終えると今度からは一人前として歩き出さなければなりません。50日間でどれだけ身に着けられるのか、「まだ修行半ばだから」の逃げ道も通用しなくなる危機感がありました。

そんなこんなで行ってきた後期加行50日間を終えたときの日記です。こちらはレポというよりただの感想ですが、さあどうぞ。

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2009年9月16日

修行日記6~後期修行編~

後期加行6週間を終えて。 

一言で言うと、辛かったです。 肉体的にも精神的にも。 でも、いい経験もたくさんできました。 ここに来ることができてよかったなぁって今は思います。 じゃあもう一回行っておいでって言われたらそれは断固拒否ですが。 

後期加行は、基本的なところ前期と変わらないのですが、 一番の大きな違いは最後の1週間に「護摩(ごま)」があるところです。 護摩ってのは、知らない人はぜひ調べてみてもらいたいのですが、 火を焚いて祈願などをする真言密教の花形的修法です。 これを習得するために百日間の修行をするといっても過言ではないくらいです。 護摩は一座の行を行うのにだいたい2~3時間かかります。 で、片付けと次の準備に1時間。 ざっと見積もって、一座やるのに必要な時間は3~4時間。 それを1日3座、7日間行います。 朝は2時起きです。 ちなみに最終日は1時半起きでした。 1時半なんて、起きてる時間ではあっても起きる時間じゃないよね。 そんな感じで寝る時間も削り、 ほんとに三座の護摩と、朝夕のお勤めと、掃除と食事だけの1週間でした。 

このように肉体的にも精神的にも厳しい護摩なのですが、 聞く人はみんながみんな護摩は楽しかったって言うんですよ。 楽しいってなんなんだろうーって思ってたんだけど、やってみたら、 護摩、めっっちゃ楽しい!!!! 火遊びが大好きなあたしは、アドレナリン放出しまくりでした。 時間も足の痛さも忘れるほど楽しかったです。 でも楽しかったって言われてもきっと伝わらないよね(笑) きっと伝わらないだろうけど、とにかくすごく楽しかったです。 そして、後期加行では、先生方がみんな優しかった! 前期までは先生方はみんな鬼だ!敵だ!と思っていましたが、今回は優しかった。 全員を卒業させようとみんなに目を配りケアしてくれてるのが伝わってきて、 それがすごく心強く嬉しかったです。 何人かの先生は、あたしの状況、父親が死んでこのあとすぐに寺を継がなければ ならないという現状を知っていて、特にあたしを細かく見ていてくれたらしく、 アドバイスをくれたり、いろいろ言葉をかけたりしてくれました。 行法もキレイで憧れてる先生方だっただけにすごく嬉しかった。 最後の座でもそのうちの一人の先生がけっこう長い時間あたしの近くにいてくれて、 最後の最後まで細かい点まで直してくれて、 有難いという気持ちと、これからはもうアドバイスがもらえないという不安で、 最後の一座は泣きながらの一座になりました。 終わって泣いてる人はいたけど、完全にフライングしたあたしでした。 

泣いたといえば、最後から数えて10日前頃、人前であんなに泣いたのなんて たぶん初めてってぐらい泣いた日がありました。 疲れと、修行が終わってからの不安に急に襲われ、完全に精神崩壊してました。 前期のときは肉体的には辛かったけど精神的にはあそこまで追い込まれることはなかった。 ここも前期とは違うなぁと思いました。 修行に入る前、 「修行なんだから辛くて当然。要はそこで何を思うかでしょ」 というようなことを自分に言い聞かせていました。 でも自分の考えがここまで変わるとは思わなかった。 肉体的にも精神的にも追い込まれて、いろいろ考えることがありました。 そのうちのひとつ。 自分は一人で生きてきたんじゃないんだってこと。 自分だけが頑張ったから今があるんじゃなくて、 まわりの人たちがいて、いろんな縁があって、今があるってこと。 修行中は、自分でも驚くぐらいたくさんの人たちの顔が浮かびました。 そのほかにも、いろいろと考えが変わったと自分でも感じるところがあります。 現実主義から少し宗教的になったかもね。 ま、変わったところありーの、変わらないところありーの、 どうなんでしょーね。 ま、山から帰ったらぜひぜひみなさん飲みに行きましょう! ってなわけで、やっとこさ修行が終わりました。 ほんとお疲れ様でした、自分。 あとは、10月終わりに免許皆伝的なのがあるので、 それが終わればとりあえず一人前の僧侶です☆

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加行でいちばんありがたかったのは先生方との出会いでした。尊敬できる僧侶の方々にたくさん出会えました。最初は先生方全員を「鬼だ」「敵だ」と思っていたのですが、後期加行が終わる頃には私は生まれたてのヒナ鳥のようにピヨピヨ慕うようになっていました。加行中も、加行を終えてからも、いろいろと気にかけてくれていろいろと教えてくれて、本当にお世話になりました。先生方は今でも私の親鳥です。ピヨ。 さて、昔のSNSに残された修行日記はあとひとつあります。それも近々公開します。それではまた。

 

<修行レポ 目次>

プロローグ

僧侶になるための修行って厳しいの?って話 - 4代目住職、尼僧です!

その1
修行日記1~朝起きたら暗くて天気がわからないよ~ - 4代目住職、尼僧です!

その2
修行日記2~魔法使いになっちゃったよ!~ - 4代目住職、尼僧です!

その3
修行日記3~精進料理なエビチリ!~ - 4代目住職、尼僧です!

その4
修行日記4~居眠りしてたらユーレイ先生に怒られた!~ - 4代目住職、尼僧です!

その5
修行日記5~自分の縁に感謝すること~ - 4代目住職、尼僧です!

その6
修行日記6~後期加行編~ - 4代目住職、尼僧です!

その7
修行日記7~先生側も経験させてもらいました~ - 4代目住職、尼僧です!

 

番外編(修行に入る日の朝、友人からのメールで父の死を知った話です)
父が死んだ日のこと - 4代目住職、尼僧です!

 

 

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